1. ホーム
  2. ブログ
  3. 人生100年時代とは? 働き方の意識改革と企業に必要な取り組みを解説

人生100年時代とは? 働き方の意識改革と企業に必要な取り組みを解説

高齢化が進展する中「人生100年時代」という言葉が聞かれるようになりました。人生100年時代では、働き方や必要なスキルも従来とは大きく異なっていきます。

人生100年時代とは

「人生100年時代」とは、平均寿命の伸びなどから提唱され始めた言葉です。イギリスの組織論学者であるリンダ・グラットン氏と経済学者であるアンドリュー・スコット博士による「LIFE SHIFT -100年時代の人生戦略」という本の中で登場しました。

2007年に日本で生まれた子供の半数が107歳より長く生きると推計している研究もあり、日本国内でも「人生100年時代」の到来に向けたさまざまな議論がなされています。

人生100年時代の働き方

人生100年時代では、働き方にどのような変化があるのでしょうか。

リカレント教育の推進

リカレント教育とは、社会に出た後も大学などの教育機関で再び教育を受けることです。海外ではすでに一般的ですが、日本ではまだ十分には広まっていません。

しかし人生100年時代では、時代の変化に対応するための学び直しが必要になります。日本でも文部科学省や経済産業省などが主体となってリカレント教育を推進しており、今後もその流れは加速していくでしょう。

リスキリングとリカレント教育については、以下の記事で詳しく解説しています。

リスキリングとリカレント教育の違いとは? 「学び直し」成功のコツ
ここ数年、コロナ禍で「リスキリング」への取り組みが加速しています。リスキリングは「学び直し」のひとつとしてとらえられますが、似たような言葉で「リカレント教育」というものも。このふたつにどういった違いがあるのか、また企業への導入におけるメリットや成功のコツを解説します。リスキリングとは経済産業省の資料では、リスキリング(

定年に縛られない「生涯現役」の考え

これまでは高校や大学を卒業し、企業に就職、場合によっては転職を経て定年まで勤め上げるというのが基本的なスタイルでした。

しかし現在、高齢者の就業意欲の高まりや少子化による人手不足から、定年の延長や定年自体の廃止が推進されています。また老齢基礎年金の受給開始年齢が引き上げられるなど、経済的な側面からも「元気に働き続けられるうちは働きたい」という考えはいっそう広まっていくでしょう。

IT人材へのリスキリング

人手不足の中でも、特に不足が叫ばれているのがIT人材です。AIなど新しい技術への対応やDX推進を背景に、政府でもリスキリングによるIT人材の育成と確保を推し進めています。

あらゆる分野でデジタル化が進んでいく中、IT人材へのリスキリングやキャリアチェンジも増えていくでしょう。

人生100年時代に必要な社会人基礎力

2018年、経済産業省は「人生100年時代の社会人基礎力」を発表しました。

この発表では、2006年に発表された「社会人基礎力」が重要度を増していくとともに、人生100年時代ならではの視点の必要性が説明されています。

社会人基礎力

社会人基礎力は、3つの力と12の要素から構成されています。

・前に踏み出す力

・考え抜く力

・チームワーク

それぞれ詳しく見てみましょう。

前に踏み出す力

・主体性

・働き掛け力

・実行力

強いリーダーシップを発揮するだけでなく、周囲を巻き込み、ともに対処する力が求められます。

考え抜く力

・課題発見力

・計画力

・想像力

計画力には、倫理観をもち選択できる力などが含まれます。未来を考え、変化する世界の中で倫理的に正しい方向へ進もうとする意欲が必要です。

チームで働く力

・発信力

・傾聴力

・柔軟性

・状況把握力

・規律性

・ストレスコントロール力

同質な存在だけのチームワークではなく、道や異文化を受け入れ、多様性を認め合う力です。

またストレスコントロール力にはストレス耐性ではなく、仕事と人生を不可分のものとしてストレスを適切にコントロールする「ワークアズライフ(Work As Life)」の観点が含まれています。

人生100年時代に必要な視点

「社会人基礎力」を発揮し、人生100年時代にキャリアを切り開いていくために必要な視点として、以下の3点が挙げられています。

・何を学ぶか(学び)

・どのように学ぶか(組み合わせ)

・どう活躍するか(目的)

人生100年時代では、自ら目的意識を持ち、学び、学んだ視点を組み合わせることが重視されます。

会社に所属して勤める(=キャリアを他者に委ねる)という考え方ではなく、自分のキャリアを自分で切り開いていくことが求められています。

参考:人生100年時代の社会人基礎力について|経済産業省産業人材政策室

人生100年時代に必要な企業の取り組み

人生100年時代においては、企業も人材戦略で必要とされる取り組みが変わっていきます。

キャリア支援

リスキリングやリカレント教育など、既存社員に向けたキャリア支援の取り組みが必要です。社外からも知識や経験を積極的に取り入れ、社会の変化に対応できる社員の育成が求められます。

キャリア支援施策の一例

・社外勉強会への参加奨励

・在籍したままで大学に通える制度

・兼業、副業、出向の支援 など

労働者の流出防止

高齢の労働者にモチベーションを維持して活躍してもらえる環境作りが必要です。ハード面だけでなく、世代間ギャップを埋められるようなソフト面のフォローも行っていきましょう。

労働者の流出防止施策の一例

・知見を活かして年齢にとらわれず働けるポジション作り

・身体の負担を軽減する作業環境の整備

・社員同士のコミュニケーションの推進 など

社会全体での人材活用

人生100年時代の企業の取り組みにおいて、もっとも特徴的なのが社会全体での人材活用です。労働者がいくつもの会社や立場に属することで多様な視点を持つ人材として成長し、社会の中で活躍することが期待されます。

また社外交流の推進は、新卒採用において企業の魅力としてとらえられるというメリットもあります。

社会全体での人材活用に向けた施策の一例

・労働者の処遇改善

・転職先の積極的なマッチング

・業界横断での環境・ネットワーク整備

参考:「人生100年時代」の企業の在り方~従業員のキャリア自律の促進~|経済産業省産業人材政策室

まとめ

人生100年時代におけるキャリアは、従来の企業任せから主体的な構築へとシフトしていきます。労働者側、企業側とも意識を変え、将来を見据えた働き方が求められます。