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派遣禁止業務とは? 具体的な仕事内容や例外、罰則を解説

人材不足が深刻化する中、1割をこえる企業が人材派遣を利用しています(平成 29 年派遣労働者実態調査)。

しかし一部の業務では人材派遣の受け入れが禁止されており、もし派遣人材を就労させてしまうと罰則の適用があります。

派遣禁止業務とは

派遣禁止業務とは「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下「派遣法」)で定められた、人材派遣や派遣の受け入れが禁止されている業務のことです。

派遣禁止業務はあくまで「業務」が対象であり、業種そのものへの派遣が禁止されているわけではありません。例えば建設業企業であっても、設計業務など建設業務以外の業務であれば派遣人材を受け入れることは可能です。

人材派遣は当初、専門的な業種のみを対象としていましたが、人材派遣のニーズの高まりから専門的な業種以外にも派遣が可能になりました。しかし労働者保護や雇用の安定性などの観点から、一部の危険な業務などで派遣就業を禁止しています。

派遣禁止業務

派遣禁止業務として規定されているのは以下の5つです。

・建設業務

・港湾運送業務

・警備業務

・医療関連業務

・士業(弁護士、社会保険労務士等)

建設業務

・建設現場内での資材の運搬

・コンクリートなどの建材加工

・内装等の仕上げ、撤去

・林業の一部(造林作業や、丸太などの素材生産) など

建設業は下請けや孫請けといった形態で業務が行われることが一般的で、また建設ごとに現場が変わるという業種特有の事情があります。そのため建設業の人材供給については「建設労働者の雇用の改善等に関する法律」で規定が設けられています。

なお事務所における工程管理や設計など、現場作業のない業務であれば禁止されていません。

港湾運送業務

・港湾において船舶への荷物の積み上げや積み下ろし

・船舶内、港湾内で荷解きや荷造り

・貨物の積み下ろし場所の清掃 など

港湾運送業務は日によっての業務量が大きく変動するため、安定した労働力の確保が難しくなっています。そのため派遣法ではなく、港湾法に基づく港湾労働者派遣制度という独自制度によって人材の供給を行なっています。

警備業務

・住宅や公共施設、イベント会場での警備

・金品の運搬の警護

・駐車場での誘導

・イベント会場入り口の手荷物チェック など

イベントの物販スタッフなど、販売業務がメインで混雑時に一時的に列の整理を行ったり、不審な人物に声をかけたりする場合は警備業務には当たりません。ただし繰り返しそのような状況が発生する場合は警備業務とみなされることがあります。

警備業務は安全や財産を守る業務であり、高い専門性が要求されます。労働者派遣では適正な業務運営に支障が生じる可能性があるため、派遣の受け入れを禁止しています。

医療関連業務

・医師、歯科医師、看護師・准看護師の業務

・薬剤師の調剤

・保健婦、助産婦、栄養士の業務 など

医療現場は医師や看護師、薬剤師など複数の専門スタッフがチーム体制をとって連携して業務を行います。派遣就業では雇用者が派遣会社であり現場の連携に支障が出る可能性があるため、派遣就業が禁止されています。

なお後述する一定の事情がある場合は、医療関連業務への派遣受け入れが認められます。

士業(弁護士、社会保険労務士等)

・弁護士、外国法事務弁護士

・司法書士

・土地家屋調査士の業務

・建築士事務所を管理する一級・二級建築士等

・公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士 など

いわゆる「士業」と呼ばれる業務では独占業務もあり、資格者本人が自身の判断と責任において業務を行います。指示を受けて仕事を進める派遣就業の形態になじまないため、派遣就業が禁止されています。

また建築士事務所を管理する管理建築士は、建築士法において専任でなければならないと規定されているため労働者派遣の対象になりません。

派遣禁止業務の例外

派遣禁止業務に該当する業務でも、一定の事情がある場合は派遣就業が認められています。

医師関連業務の例外

医師関連業務で以下に該当する場合は、派遣の受け入れが認められます。

・紹介予定派遣

・社会福祉施設等、病院・診療所等以外の施設での業務

・産休・育休・介護休業期間の労働者の代替

・へき地や離島、もしくは地域の医療対策協議会が必要と認めた病院等での業務

士業の例外

以下の士業については、一部の業務について派遣の受け入れが可能です。また派遣元や派遣先によっても派遣が可能となります。

・公認会計士

・税理士

・弁理士

・社会保険労務士

・行政書士

たとえば公認会計士の場合「派遣元が監査法人(公認会計士を含む)以外で、かつ、派遣される公認会計士が監査証明業務をおこなわない場合」に派遣の受け入れが可能です。

派遣禁止業務の規定に違反したときの罰則

派遣禁止業務に就業させた場合、派遣元企業には「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」の罰則があります。

派遣を受け入れた派遣先には懲役や罰金の規定はありませんが、違反を是正するよう勧告を受けます。この勧告に従わない場合は、企業名が公表されることがあります。

業務以外で禁止されていること

業務以外にも、派遣の受け入れにおいて以下の行為が禁止されています。

・日雇派遣

・二重派遣

・離職後1年以内の元社員の派遣受け入れ

・同一部署で同一の派遣社員を3年以上使用すること

・選考(書類、面接含む)

まとめ

派遣禁止業務は、勤務する派遣社員の安全や雇用の安定を図るために規定されています。通常の派遣ではなく各業界で専門的に職業紹介に関する法律があるので、そちらに基づいて受け入れを行いましょう。