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ChatGPTをビジネス利用する際の注意点は? リスク回避のポイントを解説

2022年11月に発表されたChatGPTは、個人利用だけでなくビジネス利用でも注目を集めています。

しかし安易な利用によるリスクも指摘されており、ビジネス利用においては細心の注意が必要です。

この記事ではChatGPTのビジネス利用について、現在知られているリスクと利用の際の注意点を解説します。

ChatGPTとは

ChatGPTとは、アメリカの人工知能研究所「OpenAI」が開発したチャットボットです。

その滑らかで自然なやりとりから急速に利用者を増やし、リリースから3ヶ月後の2023年1月にはユーザー数が1億人に到達しました。

APIも有料公開されており、すでに検索サービスやLINEアカウント、カスタマーサポート向けチャットなどで導入されています。

ChatGPTが得意とするのは、既知の情報の整理や要約といった分野です。またプログラムコードや定型文書などある程度フォーマットが決まっているものの作成やチェックでも活用できます。

いっぽう、解決策のない社会問題や先端技術など情報が少ない分野については一般的な回答しか得られません。

国内外のガイドライン

ChatGPTの利用について、現在国内では規制がありません。

しかしAI利用に関するガイドラインはすでに複数制定されており、以下の原則において利用されるよう求めています。

・人間中心

・教育・リテラシー

・プライバシー確保

・セキュリティ確保,

・公正競争確保

・公平性・説明責任・透明性

・イノベーション

参考:国内におけるAI利用のガイドライン|内閣府

国外では米バイデン大統領が「国家安全保障への潜在的リスク」に言及、また中国でもAIツールのセキュリティ審査を義務化するなど、規制の動きが出ています。

また岸田総理大臣は、5月に開かれるG7サミットにおいてChatGPTを議題に取り上げることを表明しました。実際に議論がなされれば、何らかの国際的な枠組みがなされる可能性もあります。

ChatGPTをビジネス利用する際のリスク

便利なChatGPTですが、ビジネスで利用するにあたっては以下のリスクがあることに留意してください。

情報漏洩

ChatGPT利用において現在最も大きな問題とされているのが情報漏洩です。

ChatGPTに入力したプロンプト(ChatGPTへの質問文や指示)そのものが漏洩したり、プロンプトとその回答が再学習に使われたりする危険があります。

実際に、韓国のテック大手・サムスン社においてChatGPTの利用による情報漏洩が発生したと報道されました。半導体開発に関するコードをChatGPTに入力したことが原因とされています。

情報の信頼性

2つ目は情報の信頼性に関するリスクです。

ChatGPTで得られる回答は、必ずしも正しいとは限りません。学習元データが誤っていれば、返答も誤ったものになります。

従来のテキスト生成ツールでは文章が不自然なため、誤りに気付くこともできました。しかしChatGPTの文章は読みやすいため、誤った情報でも真実であるかのように誤認しやすくなっています。

著作権違反

ChatGPTでテキスト生成された文章は基本的にオリジナルですが、学習元によっては既存のサイトや著作物と内容が酷似することがあります。あまりに類似性が高い場合は、著作権違反とみなされるリスクがあります。

またアメリカでは絵や文章を勝手に機械学習に使われたとして、複数の著作権者がOpenAI社に対して訴訟を起こしています。

未知のリスクの顕在化

ChatGPTは公開から間もないサービスで、利用者の広がりに対してリスク評価が追いついていません。

すでに顕在化しているリスク以外にも、なんらかの危険な要素が発見されたり、利用制限がかかったりすることは充分に考えられます。

ChatGPTをビジネス利用する際の注意点

ChatGPTを利用する際の注意点を解説します。

利用規約を確認する

基本的なことですが、かならず利用規約を確認してください。ChatGPTは利用規約において具体的な禁止事項を挙げています。以下はその一部です。

・ギャンブル、アダルトコンテンツ等公序良俗に反するコンテンツの作成

・専門家のチェックを行わない法的アドバイス

・医療情報の提供 など

参考:Usage Policies|OpenAI

また「金融、医療、法律分野のテキストに使用する場合はAIを利用していることを明記すること」など、利用上の制限も設けられています。

特に自社サイトの商品紹介や顧客対応など、エンドユーザー向けの情報についてChatGPTを利用する場合は、コンプライアンス部門を含め確認しましょう。

生成物のチェックを行う

ChatGPTによって得られた回答の真正性は担保されていません。エンドユーザーやクライアントなど顧客に提出する場合は、特に念入りにチェックを行ってください。

顧客に提出しない場合も、誤っている可能性があることを念頭に置いて、あくまで参考情報として利用しましょう。

また著作権違反のリスクがあることから、成果物にChatGPTを利用しないことを定める企業もあります。コンテンツ制作や広告制作を受託する場合は、あらかじめChatGPT利用の可否について顧客に確認しておきましょう。

社内ガイドラインの作成

上記を踏まえたうえで社内利用におけるガイドラインを作成し、関わる人全てに周知しましょう。

・アカウント作成のルール(個人メールアドレス利用の可否等)

・入力してはいけない情報(機密情報等)

・生成物のチェックに関する手続き(著作権等)

・生成物の利用範囲(個人の調査、顧客へのプレゼン資料、消費者への公開等)

今後は国内外のガイドライン制定が進んでいくと見込まれます。事故事例等に応じて、臨機応変に改定していきましょう。

使わない場合も社内教育を

会社として「ChatGPTを使わない」と決定しても、従業員には利用の危険性を教育する必要があります。

ChatGPTは非常に便利なツールなので、従業員が勝手に利用してしまうことは充分に考えられます。

このくらいならいいだろうと安易に考えて使った結果、情報漏洩につながることはChatGPTに限りません。

まとめ

ChatGPTのビジネス利用には、以下のリスクがあります。

・情報漏洩

・情報の信頼性

・著作権違反

・未知のリスクの顕在化

特に機密情報漏洩や法律違反は事業に大きな打撃を与える可能性もあります。会社としての方針はもちろんですが、勝手に使う従業員が出ないよう、社内教育もしていきましょう。