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SL理論とは? マネジメントを成功させるメソッドと注意点を解説

求められる「理想の上司像」が大きく変化し、かつて有効とされていた「強い上司」「トップダウン」といったマネジメントが通用しなくなりました。

そんな中、マネジメントを行う上司側の資質ではなく、マネジメントを受ける部下側に着目したのが「SL理論」です。

新しくマネージャーに昇格した人はもちろん、今までのマネジメントでうまくいかなくなってしまったという人もぜひ試してみてください。

SL理論とは

SL理論(Situational Leadership Theory)とは、「部下の成熟度によって効果的なマネジメントのスタイルは異なる」という理論です。

部下の置かれている状況に応じてマネジメントスタイルを変えることから、日本語では「状況対応型リーダーシップ」とも呼ばれます。

アメリカの行動科学者ポール・ハーシーと、作家でありビジネスコンサルタントでもあるケン・ブランチャードによって提唱されました。

SL理論における4つのマネジメントタイプ

SL理論では、部下の成熟度によって以下の4つのマネジメントタイプを使い分けます。

SL理論におけるマネジメントタイプ

  • 指示型
  • コーチ型
  • 参加型
  • 委任型

それぞれ、部下への感情面でのフォロー(援助的行動)指示の量(指示的行動)が異なり、委任型にいくほど部下の成熟度が高いとされます。

■指示型

新入社員など経験値も知識量も低い部下を対象としたスタイルです。

業務を進める上での素地を作っていく段階であり、業務の意義や目的よりもタスクとしての細かい指示と進捗管理を行います。

■コーチ型

業務に関する経験がある程度高まってきた部下を対象としたスタイルです。

対応内容を指示するだけでなく、業務の目的や前後関係、全体像などを共有し、業務に対する広い視野と深い理解を促します。

指示型よりも信頼感やモチベーション向上といった感情的なコミュニケーションが必要とされ、業務指示と合わせて当人がどんなことにやりがいを見出すのか、きめ細かいフォローが必要です。

■援助型

コーチ型よりもさらに業務経験を積んだ部下を対象としたスタイルです。タスク処理スキルが高いものの、単独判断を行えない、あるいは単独判断を行いたくないという社員を想定しています。

このレベルまで部下が成長していれば、業務に関する指示はほとんど必要ありません。仕事の進め方など部下からの提案も受けながら相互に意見交換を行い、自分で判断できるだけの自信を身に付けさせていきましょう。

■委任型

タスク処理スキルも高く、独自判断ができるレベルの部下を対象としたスタイルです。昇格や昇進の候補にも挙がってくる段階でしょう。

このレベルの部下に対しては、業務の指示はもちろん支援もほぼ必要としません。口を出すよりも責任や権限を委譲して、自立的に動いてもらうことで本人のやる気や責任感を育てていきます。

業務分野によって使い分ける

SL理論では部下の成熟度によってマネジメントスタイルを区分していますが、同じ部下でも業務分野によって使い分けることが重要です。

たとえば「既存顧客のフォローが得意だが新規開拓は苦手」という営業社員を想定してみましょう。

同じ営業でも、対象が違えばアプローチ方法も異なります。既存顧客については「委任型」で自立的に動いてもらいつつ、新規開拓は「コーチ型」で細かくフォローするなど、業務分野を細かく分けることでマネジメントの効果は高くなります。

また経験年数や年齢によってマネジメントタイプを決定することも避けましょう。

新人でも成長が早ければ、どんどんコーチ型や援助型へ移行していくことが望ましいです。逆にベテランであっても、新しい業務を任せる場合などはいったん指示型からスタートしたほうが良いこともあります。

SL理論は部下に誤解されやすい

SL理論は部下によって仕事の任せ方や指示の仕方が異なります。

働いている年次に応じて全員が同じスピードで成長してくれればあまり問題はないのですが、当然、人によって成長スピードは異なります。

そのため部下の捉え方によっては「えこひいきされている」とか、「自分にだけ冷たい」など、誤解を招く危険もあります。

そうならないためにも、部下本人が置かれているステージや得手不得手を含め、マネジメントの意図をしっかりと伝えるようにしましょう。

まとめ

SL理論では、部下の成熟度によって以下の4つのマネジメントスタイルを使い分けています。

  • 指示型:新入社員など経験値が浅い部下向け
  • コーチ型:業務に慣れてきた部下向け
  • 援助型:業務自体には熟達しているが独自判断ができない部下向け
  • 委任型:業務に熟達し、自分で判断して動ける部下向け

部下ごとの成熟度に合わせたマネジメントを行うので、レベルに応じたケアがしやすいというメリットがある一方、不平等感が生まれやすいという側面もあります。

SL理論に限らず、完璧なマネジメント理論はありません。様々な理論を組み合わせながら、部下のパフォーマンスを最大限に引き出していきましょう。