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「離職率」の定義と計算方法|採用側も応募側も知っておくべき基本ルール

就職や転職の際に、会社選びの基準となるのが離職率です。

求職者だけでなく人事の担当者の方でも、自身や部署の目標として離職率を掲げている方も多いのではないでしょうか。

高い低いだけに目が向きがちな離職率ですが、計算方法によっては大きな差が開くことがあります。

どのような基準で計算されているのか、定義や計算方法について解説します。

離職率の定義

「離職率」について、実は法的な定義はありません。企業や調査資料、求人媒体によっても異なります。

厚生労働省の場合

厚生労働省の雇用動向調査では、離職率を「常用労働者数に対する離職者数の割合」と定義しています。

離職者とは

常用労働者のうち、調査対象期間中に事業所を退職したり、解雇された者をいい、他企業への出向者・出向復帰者を含み、同一企業内の他事業所への転出者を除く。

引用元:厚生労働省 雇用動向調査

常用労働者とは

次のいずれかに該当する労働者をいう。
(1)期間を定めずに雇われている者
(2)1か月以上の期間を定めて雇われている者

引用元:厚生労働省 雇用動向調査

厚生労働省では性別や最終学歴別の離職率のほか、離職理由別の離職率などを集計しています。

就職四季報の場合

雇用動向調査が1月1日を基準日としているのに対して、東洋経済新報社が出版している「就職四季報」では年度期首を基準とした年度単位で離職率を算出しています。

  • 離職率 = (前年度1年間の離職者数)÷(前年度期首の社員数)×100

「離職者数」に定年退職は含まれませんが、リストラは含まれています。そのため大きな人員削減があった年などは、突出して離職率が高くなることがあります。

離職率の計算方法

離職率の定義と同様に、離職率の計算方法についても法律上の取り決めはありません

厚生労働省の計算式

雇用動向調査では、以下の計算式で離職率を算出しています。

  • 離職率 = 離職者数 ÷ 1月1日時点の常用労働者数 × 100(%)

例えば2021年の離職率を計算する場合、2021年1月1日から12月31日までの退職者の数を2021年1月1日時点の常用労働者数で除して100を掛けます。

新卒入社3年以内の離職率

「3割」などと言われることの多い新卒入社の3年以内の離職率は、以下の方法で算出されています。

  • 該当年次の3月から6月に入社した人のうち3年以内に退職した人数 ÷ 該当年次の3月から6月までの入社者 × 100(%)

※厚生労働省では「雇用保険に加入した者」を「入社した人」として計算しています。

参考 厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況を公表します

例えば、ある企業で新卒入社と退職者が以下の人数だったとします。

  • 2021年度の新卒入社者 20名
  • そのうち3年以内(2024年3月31日まで)に離職した人 4名

この場合の離職率は

離職率 = 4 ÷ 20 × 100 = 20%

となります。

中途採用の1年以内の離職率

中途採用の場合も、新卒の場合と同様です。対象期間に入社した人数と、退職までの期間を使って離職率を計算します。

例えば以下のケースで「過去五年間を対象とした中途採用者の1年以内の離職率」を計算してみましょう。

  • 過去5年間で中途入社した人 30名
  • そのうち1年以内に退職した人 3人

この場合の離職率は、3 ÷ 30 × 100 = 10% となります。

対象期間や対象者を確認する

上記のように、離職率の計算では企業によって対象期間や対象者が異なるため、比較する場合はどのくらいの期間を対象にしているのかを確認する必要があります。

離職率が非常に低いようにみえても、3ヶ月や半年などの短い期間での集計の場合はたまたま離職者が少ない期間での数字ということもあり得ます。

業種別の離職率(令和3年上半期)

2022年5月時点で公表されている最新の業種別離職率は以下のようになっています。

■離職率が高い業種

  • 宿泊業、飲食サービス業 15.6%
  • 教育、学習支援業 12.4%
  • 生活関連サービス業、娯楽業 11.0%

■離職率が低い業種

  • 金融、保険業 4.3%
  • 複合サービス事業 4.7%
  • 建設業、情報通信業 5.0%

あくまで業種別のため、同じ業種でも会社によって違いがあります。

希望業界が固まっている方は、自分の志望している会社の離職率が業界全体と比べてみると、会社選びに役立つのではないでしょうか。

参考: 厚生労働省 令和3年上半期雇用動向調査結果の概要(pdf)

まとめ

離職率は求職者にとっても人事担当者にとっても気になる数字のひとつです。しかし数字そのものよりも大切なのは、どんな要因によってその結果になっているかということではないでしょうか。

数字をひとつの目安としつつ、よりよい会社環境を目指していきたいものですね。