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OJT研修とは? 成功のコツは「現場任せにしない」こと

OJT研修は、業種や職種を問わず多くの企業で取り入れられている研修スタイルのひとつです。

しかし導入が容易な反面、実は運用が難しく、きちんと準備やフォローをしないと期待する効果を上げられません。

OJT研修とはそもそもどういうものなのか、効果を上げるためのやり方も含めて解説します。

OJT研修とは

OJT研修とはOn the Job Trainingの略で、日本語では「現場研修」と呼ばれることもあります。実際の配属先の先輩が教育担当者となって業務を教えていきます。

対義語としてOff-JT(Off the Job Training)研修があり、こちらはいわゆる座学です。

OJT研修のメリット

OJT研修の主なメリットを紹介します。

■実践的なスキルを学べる

実際の業務をこなしながら仕事を学んでいくので、実践的な学習ができます。先輩たちの培ったノウハウを教えてもらえるため、戦力になるまでの時間が座学よりも圧倒的に早くなります。

■指導対象者が社内環境になじみやすい

現場の上司や先輩とコミュニケーションを取りながら研修を行うので、指導対象者が自然と職場環境になじみやすくなります。

職場に早くなじむことができると、会社への帰属意識も高くなり、離職率の低下にもつながります。

■教える側のスキルアップや業務の再確認ができる

人に業務を教える中で、教育担当者である先輩社員や上司のマネジメントスキルの向上が期待できます。

また「なぜこの作業が必要なのか」「なぜこの手順なのか」を再確認する機会になるため、これまで見過ごされてきた業務の無理や無駄が可視化され、業務効率化にもつながります。

OJT研修のデメリット

次にOJT研修のデメリットについて解説します。

■現場の不満に繋がりやすい

OJT研修では実際の業務を行いながら指導をするので、自然と現場の業務処理スピードは低下します。

どんなに優秀な人でも、一度で仕事を覚えられることは滅多にありません。そのため教育担当者は何度も同じ指導をしたり、時には新人のミスのために残業になったりすることもあります。

そういった状況を放置すると、教育に対してネガティブになってしまい現場の不満が蓄積されることになります。

■教える側のスキルで教育成果に差がつく

いわゆる「仕事が出来る人」が、教えることにも長けているとは限りません。業務センスがある人ほど「できて当然」という考えに陥り、うまく指導ができないということはよくあることです。

また会社への忠誠心が低い人や業務レベルが低い人が教育者となった場合、指導対象者が作業としてしか学ぶことができなかったり、業務への意欲が低下したりする可能性もあります。

OJT研修の効果的なやり方

OJT研修の効果を高めるやり方を準備段階から解説します。

(1)教育担当者向けの研修

実際に指導にあたる現場の社員に、OJT研修の意義や教え方のポイントについて共有しましょう。

特に中堅社員や中高年の社員の中には「教育は自分の仕事ではない」と考えている人も少なくありません。

また近年は仕事への価値観や職場内の人間関係について価値観が多様化しており、それらの認識の相違が教育対象者との信頼関係を阻害することもあります。

しかしただ「必要だから」では、余計に現場に不満がたまります。

OJT研修の実施によって現場にどんなメリットがあるのかを含めて共有することが重要です。

(2)計画の立案

OJT研修が開始されると、日々の業務の中で気がついたら研修期間が終わっていた、ということがよくあります。研修を始める前に「計画」と「研修のゴール」を設定しましょう。

人事と現場が一緒に立案する

会社側の「期待する成長」と現場の「実際に発生する業務」が一致することはほとんどありません。人事と現場のどちらか一方だけで計画を立てると、無理や不足が生じてしまいます。

また人事が研修計画の策定に参加することで、研修対象者全体のレベルの均一化にもつなげやすく、現場も「丸投げされているわけではない」という安心感を持つことができます。

(3)指導対象者へのフォローアップ

研修の中で困ったことはないか、教育担当者とのコミュニケーションはとれているか、など、適宜会社側からフォローを行いましょう。

(4)教育担当者のサポート

新人指導が初めての人はもちろん、指導経験がある人であっても問題は必ず発生します。必要に応じて研修計画の見直しも視野に、サポートを行っていきましょう。

注意事項

現場が研修を前向きにとらえられるかどうかが、OJT研修の肝といえます。そのための注意事項を解説します。

■教育のための時間を調整する

OJTは実際の業務の中で行われるため、教育担当者が自分の業務をこなす時間はどうしても削られます。

教育担当者が教育時間を確保できるよう、配属先の上司を巻き込んで業務の調整を行いましょう。

■教育を評価する

教育担当者は自身の業務時間を教育に割いており、人に教えるという普段の業務とは違うことをしているためストレスもたまります。

これらのことを無視して通常時と同じ評価基準で評価を行うと、「教育担当者になるのは損」という認識が拡がりかねません。

教育をきちんと評価することで、担当者のモチベーションアップにつながることはもちろん、現場にも教育の重要性が浸透しやすくなります。

まとめ

OJT研修は、早い段階での戦力化が期待できるいっぽう、現場任せになりやすいという難点があります。現場の担当社員が納得していないと、OJT研修の本来の成果が期待できません。

会社や人事も一緒に研修をしているという姿勢をしっかりと見せ、現場のメリットも理解してもらえるような体制づくりと意識の醸成が重要です。