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中小企業診断士の難易度は? 難しい理由と働きながら合格する方法

「中小企業診断士」は経営コンサルタントの分野では唯一の国家資格です。独立も可能で、近年人気が高まっています。

難関資格のイメージがありますが、実際どのくらいの難易度なのでしょうか。近年の傾向と難しい理由を解説します。

中小企業診断士の難易度

中小企業診断士は合格率1桁の難関資格です。

以下は過去10年間の中小企業診断士試験の合格率です。最終的な合格率は概ね4〜6%で推移しています。

試験年度1次試験2次試験最終合格率
平成2423.5%25.0%5.9%
平成2521.7%18.5%4.0%
平成2623.2%24.3%5.6%
平成2726.0%19.1%5.0%
平成2817.7%19.2%3.4%
平成2921.7%19.4%4.2%
平成3023.5%18.8%4.4%
令和130.2%18.3%5.5%
令和242.5%18.4%7.8%
令和336.4%18.3%6.7%
平均26.6%19.9%5.3%

※一般社団法人中小企業診断協会の資料より作成

参考:中小企業診断士試験 申込者数・合格率等の推移

ここ数年は易化傾向

直近数年の合格率は上昇傾向にあります。特に令和元年からの3年間はいずれも一次試験の合格率が30%を超えており、最終合格率も5%以上です。

他資格との比較

中小企業診断士の令和3年度の合格率を、そのほかの資格と比較してみました。

資格合格率
ファイナンシャルプランニング技能士(FP)2級50.6% ※学科試験
弁護士(司法試験)41.5%
税理士18.8%
行政書士11.2%
公認会計士9.6%
社会保険労務士7.9%
中小企業診断士6.6%
弁理士6.1%
司法書士4.1%

司法試験や税理士はロースクールなどの専門機関での学習者や、フルタイムでの仕事をせずに勉強に専念する人が多い資格です。

中小企業診断士は働きながら取得を目指す人が多く、6.6%という低い合格率になっています。

参考:

法務省 令和3年度司法書士試験の最終結果について

日弁連 司法試験合格者の状況

日本FP協会 2021年9月実施2級FP技能検定試験結果

国税庁 令和3年度(第71回)税理士試験結果

行政書士試験研究センター 令和 3 年度行政書士試験実施結果の概要

金融庁 令和3年公認会計士試験の合格発表について

厚生労働省 第53回社会保険労務士試験の合格者発表

中小企業診断協会 令和3年度の試験について

特許庁 令和3年度弁理士試験の結果について

科目別難易度

次に科目別難易度を見てみましょう。中小企業診断士の一次試験は7科目あり、科目ごとに合否が判定されます。

科目名平成29平成30令和元令和2令和3平均
経済学・経済政策23.4%26.4%25.8%23.5%21.1%24.0%
財務・会計21.6%25.7%7.3%10.8%22.4%17.6%
企業経営理論9.0%7.1%19.4%19.4%34.7%17.9%
運営管理3.1%25.8%22.8%9.4%18.5%15.9%
経営法務8.4%5.1%10.1%12.0%12.8%9.7%
経営情報システム26.6%22.9%26.6%28.7%10.6%23.1%
中小企業経営・中小企業政策10.9%23.0%5.6%16.4%7.1%12.6%

※一般社団法人中小企業診断協会の資料より作成

参考:過去の試験結果・統計資料

年度によってばらつきはありますが、過去5年の平均では経営法務の合格率が最も低くなっています。

経営法務では会社経営に関する法律を問われます。法律条文は独特の言い回しも多いため、苦戦する人が多いと思われます。

合格に必要な勉強時間

中小企業診断士の合格に必要な時間は「800〜1,000時間」と言われています。1年間での合格を目指す場合、週20時間が目安です。

なお司法試験では3,000〜8,000時間中小企業診断士とのダブルライセンスを持つ人も多い社労士は800〜1,000時間と言われています。

中小企業診断士試験はなぜ難しいのか

中小企業診断士試験の合格率が低い理由は、有職者の受験生が多いだけでなく試験自体にもあります。

科目基準点がある

中小企業診断士の1次試験には科目別の基準点が設けられています。つまり、すべての科目で一定以上の点数をとらないと合格できません。

極端な話をすれば、7科目中6科目が満点でも1科目で基準点に届かなければ不合格です。

範囲が広い

中小企業診断士の試験では、法律や財務だけでなくIT知識や経済学など幅広い分野の知識を問われます。

中小企業診断士特有の分野として、中小企業に対する国の政策などもカバーしなければなりません。

2次試験は相対評価

一次試験が得点による絶対評価であるのに対し、二次試験は相対評価と言われています。

つまりいくら良い点をとっても、同じ年の受験者に優秀な人が多ければ不合格となる可能性があります。

中小企業診断士は仕事をしながらでも合格できる

中小企業診断士試験に合格した人のうち、無職や自営業の人は2割未満です。8割の人は企業などに勤めながら合格しています。

科目免除を活用する

中小企業診断士の試験には科目免除の制度があり、以下の場合に一定の科目の試験を免除されます。

・大学教員など一定の資格を保有するもの

・科目ごとに60%以上を得点したもの(科目合格)

科目合格者については、翌年と翌々年の試験で試験科目を免除されます。そのため一発合格を狙わないなら、毎年数科目ずつ合格を目指す方法も使えます。

参考:中小企業診断士第1次試験他資格等保有による科目免除

参考:第1次試験科目合格パターン例

取捨選択する

中小企業診断士の試験範囲は幅広く、完全に修めることは不可能です。

試験に出るポイントを重点的に学習し、そうでない部分は切り捨てる「取捨選択」が合格のためには不可欠になります。

継続と反復を徹底する

範囲が広い試験を攻略するのに大事なことは「継続」と「反復」です。

どんなに記憶力の良い人でも、一度覚えたことは時間が経てば忘れます。一科目に時間をかけるのではなく、何度も繰り返しながら理解を深め定着させていくことが大事です。

特に初学の人は、まずはすべての科目をひととおり読むすることを目指しましょう。

まとめ

中小企業診断士の難易度について解説しました。

・中小企業診断士の合格率は平均4〜6%

・科目基準点があり範囲が広いため難しい

・働きながらでも合格は可能

難関資格ですが、仕事をしながらでも十分に合格が可能です。計画を立てて頑張りましょう。