1. ホーム
  2. ブログ
  3. 「コンプライアンス教育」はなぜ必要なのか? 経営者も社員も意識改革を

「コンプライアンス教育」はなぜ必要なのか? 経営者も社員も意識改革を

「コンプライアンス」の重要性が叫ばれて久しい昨今ですが、皆さんの企業では「コンプライアンス教育」は行われているでしょうか。

コンプライアンス違反は、一部の非常識な人だけが起こすものではありません

コンプライアンス教育がなぜ必要なのか、違反が起きる要因や教育のメリットを含めて解説します。

コンプライアンスとは

「コンプライアンス」は、以下のように説明されています。

企業や組織が法令や倫理といった社会的な規範から逸脱することなく適切に事業を遂行することを意味する言葉。

Weblio辞書より引用

「法令遵守」と訳されることもありますが、単に法律を遵守するだけでなく社会的なモラルや倫理を含む幅広い領域をカバーする言葉です。

コンプライアンスを遵守することは、CSR(企業の社会的責任)にもつながります。

コンプライアンス違反の事例

コンプライアンス違反の事例は非常に多岐にわたり、現場の従業員によるものから会社ぐるみの不祥事まで様々です。

コンプライアンス違反の事例

  • 個人情報の流出(データの持ち出しなど)
  • ハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラ、パタハラなど)
  • SNSの不適切な利用(悪ふざけ動画や顧客情報の投稿など)
  • 不正会計
  • 賃金不払い
  • 検査データ改ざん など

違反を犯したのが1人の従業員だったとしても、SNS上で批判が集中(いわゆる「炎上」)した結果、会社として謝罪や補償などの事態に発展することも少なくありません。

また違反内容によっては株価に影響することもあり、コンプライアンス違反は経営上のリスクであるという認識が必要です。

ハラスメント防止措置が義務化

2022年4月の法改正によってパワハラやマタハラ、パタハラ(男性の育児休業取得に関する嫌がらせ)について防止措置が義務化されました。

コンプライアンス違反は「個人の性格」ではない

コンプライアンス違反が発生すると「実際に違反をした社員が悪い」と考えられることがあります。

もちろん一次責任は当事者本人ですが、コンプライアンス違反は個人の性格や資質だけに依存するものではありません

■コンプライアンス違反が発生する要因

コンプライアンス違反は、「不正のトライアングル」が揃ったときに引き起こされるといわれています。

・動機(不正を行うことで得られる利益があること)
・機会(監視の目がないなど、実際に不正ができる環境であること)
・正当化(みんなやっているから、上司の命令だから、など理由があること)

普段まじめに仕事をしている人でも、ストレスや不安などから「魔が差して」コンプライアンス違反を行ってしまうことは充分にあり得ます。コンプライアンス違反は誰でも起こす可能性があるものです。

■「常識」は時代によって変わる

30年前には「正しい」とされていたことが、社会の変化によって「正しくない」とされることは珍しくありません。

特にハラスメントの類は、これらの「常識」の基準のズレによって引き起こされることが多くあります。

■責任感から不正が発生することもある

コンプライアンス違反の原因は悪意だけに限りません。

たとえば営業担当者が「売り上げをあげて会社へ貢献しなければならない」という責任感から、不正契約に加担してしまう場合もあります。

また管理職の「部下を一人前にしなければならない」「部署の目標を達成しなければならない」という気持ちが行きすぎた結果、過度な叱責(パワハラ)につながることもあります。

仕事や部下への責任感は悪いものではありません。しかしコンプライアンス意識が不足すると、目的のための手段を誤ってしまい、コンプライアンス違反につながるのです。

コンプライアンス教育のメリット

コンプライアンス教育は短期的なメリットよりも長期的なメリットが大きく、会社のイメージアップや企業の成長が期待できます。

たとえばパワハラやセクハラが横行している職場では離職率が高くなり、ノウハウの蓄積もままなりません。

しかしコンプライアンス教育が行き渡ることでハラスメントを減らすことができれば、人材育成も容易になるでしょう。

特に近年、「ブラック企業」という言葉がすっかり定着したことからも分かるとおり、若年層を中心に企業のコンプライアンス意識を重視する傾向はますます強まっています。

新卒採用や第二新卒の転職などにおいて、コンプライアンスに対する企業の姿勢が会社選びの重要な条件のひとつになっているといえるでしょう。

コンプライアンス教育の方法

コンプライアンス教育にはいくつかの方法があります。期待する効果に応じて使い分けましょう。

■階層別教育

新入社員、中堅社員、管理職、経営者など、役職や年次によってグループを分けて研修を行うものです。

管理職や経営者であればパワハラやモラハラなどのハラスメント、現場社員であれば情報漏洩など、職責に応じて行います。会社として一定のレベルに引き上げたいというときに有効です。

■部署、職種別教育

営業担当者、経理担当者など、職務に応じた研修方式です。実務に関連のある事例を学ぶため、研修を受けた社員が当事者意識を持ちやすい方法です。

■eラーニング

従来の座学による研修のほかに「eラーニング」を導入する企業も増えています。従業員が空いた時間で受講しやすく、また反復学習、継続的な習熟度のモニタリングにも適しています。

まとめ

コンプライアンス教育の重要性について、違反が起きる要因やメリットを交えて解説しました。

コンプライアンスを守るとは「悪いことをしない」ということですが、そのためには「悪いこと」の基準を揃えるところからスタートしなければなりません。

社会の変化に合わせて、従業員だけでなく経営者にも意識のアップデートが求められています。